しんしんと雪が降る夜だった。
泣きじゃくる俺を途方に暮れたように、マフラーで顎を隠した洋太が見詰めていることは知っていたんだ。それでも俺はガキで、半分以上はそんな洋太を困らせる為だけに駄々を捏ねてるようなもんだった。
「大丈夫だよ。光ちゃんはとてもいい子だから…きっとね、サンタさんは来てくれるよ」
「嘘だい!」
投げ出してしまっていたマフラーを巻いてくれようとしながら優しく笑う洋太の腕を振り払って俺は、なんだか、その何もかも知ってますってな取り澄ました顔が許せなくて怒鳴っていた。
洋太はそんな俺をちょっぴり困ったような顔をして見下ろしていたけど…仕方なさそうに、それでも、今にして思えば愛おしそうに両目を細めながら呟くようにして尋ねてきやがったんだ。
「嘘じゃないよ…ねえ、光ちゃん。何をそんなにサンタさんにお願いしたいの?」
まだあどけなさなんかバリバリに残している洋太の頬に雪が零れて、息だってあんなに白くなってたってのに…俺はどうしてあれほど強情に洋太の優しさを受け入れようとしなかったんだろう?
「だって、だって洋ちゃん…あのね」
耳を傾ける洋太にソッと唇を寄せて囁いた言葉は…
結局、ただ洋太を困らせただけだった。
「じゃあね、サンタさんが来なかったら。きっと僕が、サンタさんの代わりにそのお願いを叶えてあげる」
「洋ちゃん、ホント?」
「うん」
ニコッと笑う洋太。
そんなの嘘だって判ってら。
でも、小さかった俺には洋太のその言葉が嬉しかった。
いやきっと、構って欲しかっただけなんだ。
今にして思えばあれは、洋太を1人の人間として認めはじめた、いわば照れくせーんだけど、俺の初めての恋の始まりだったんだと思う。
□ ■ □ ■ □
「だから、そんなに怒るなよ」
いつもは温厚なはずの洋太が、今夜はやけにぶすくれてる。
それもそのはず、その原因を作ったのは…そう、まさにこの俺、里野光太郎にある。
俺の愛すべきデブ野郎、長崎洋太にとって今度のクリスマスがどうしてそんなに大事なのか良く判らなかった。
でもまあ、考えてみりゃ来年の俺たちは就職活動とか入試なんかあって、クリスマスを一緒に過ごせるかどうかも判らないんだよなー…まあ、そう言われてみたら、洋太の不機嫌さも判らないってワケでもねーか。
「別に、怒ってなんかないよ」
ツンッと、らしくもなく外方向く洋太のふくふくした頬をぐいっと半ば強引に引っ張って振り向かせてやると、洋太のヤツは珍しく胡乱な目付きをして軽く睨んできやがった。
…怒ってねーとか言って、バリバリ怒ってんじゃねーかよ。
俺は洋太に弱い。
いや、もしかしたら強いのかもしれないけど、まあそんなこたこの際どうでもいいとして、洋太のこんな風に拗ねた表情は滅多に見られるもんじゃないから嬉しくて…あ、いやいや、困った顔して俺は唇を尖らせたんだ。
「仕方ねーだろ?店長の奥さん、臨月間近だし、入院しちまったから頼れるのはバイトだけなんだ」
「別にね」
洋太は間髪入れずにそう言ってから、ちょっと悲しそうに眉を寄せて溜め息なんかつくんだ。
うう、そりゃあ俺だって、できれば洋太とクリスマスをイヴからずーっと一緒に過ごしていたいさ。別に俺がお前と一緒にいたくないからこんなこと言ってる…ってワケじゃないんだから、いい加減ヘソ曲げるのも勘弁してくれよ~
俺ってヤツは、洋太のそんな顔を見るのがホントは大好きなんだけど、やっぱその、好きなヤツにはいつだって笑っていてほしいから、喧嘩っ早いクセだって治したってのに、こんなことぐらいで拗ねられるなんて正直思ってもいなかったから、ちょっと弱ってるのってのは確かで。
「あの花屋さんのバイトが光ちゃんしかいないってことぐらい、鈍い僕だって知ってるよ。だからって、そんなことで怒ってるわけじゃないんだ」
なんだ、やっぱ怒ってんじゃねーかよ、お前。
「洋太~、お前いつからそんな、我が侭言うヤツになっちまったんだぁ?」
ギシッとベッドを軋ませながら、こんもりと山を作っている洋太の傍らに這い上がった俺が、読んでもいない雑誌の下からそのぶすんと拗ねちまってる顔を覗き込もうとしたら、ヤツは大きな掌で俺の顔を押さえて阻止しやがったんだ。
「我が侭?…うん、そうかもしれないね。僕だって、大好きなひとに我が侭ぐらい言いたいよ」
不意に、どうしてだろう?
急に心臓がドクンッと跳ねやがった。
太い指の向こうで、何か言いたそうな表情をした洋太が眉を寄せている。
「ねえ、光ちゃん。僕が我が侭を言うのは悪いことなのかな?そんなに変なことなのかな?」
ドクンドクンッと心臓が跳ねて、不意に、洋太の掌が俺の顔から剥がれ落ちて、太い指先が半開きの俺の口許をゆっくりとなぞるから…お、俺って今、どんな顔をしたらいいんだ!?
「僕だって、光ちゃんに我が侭を言ってみたいよ。バイトなんかに行かないで、今年のクリスマスはイヴからずっと傍にいて欲しいって…」
ベッドヘッドに枕を凭れさせて作っている背凭れから大きな身体を起こした洋太のヤツ
が、たぶんきっと、ポカンと間抜けな面をしてんだろう俺の顎をソッと掴んで、真摯な双眸で覗き込んできたりなんかするから悪いんだ。
俺はそんな、こう言う雰囲気には慣れてねーんだからな!
「む、無理だって!洋太だって言ったじゃねーかよッ。真面目にバイトすることは喧嘩するよりいいことだって!」
唇に息がかかるくらい近付いていた洋太に、俺は、ああなんだってこんな時に急に羞恥心なんかが沸き起こってきたりするんだ!せっかく洋太がその気になって、あわよくばこのまま押し倒すことだってできたかもしれねーってのに!
馬鹿馬鹿馬鹿!俺の大馬鹿野郎!!
不意に洋太はキョトンとしてから、それからちょっと拍子抜けしたような、寂しそうな表情をして視線を逸らすと、下唇を子供みたいに尖らせたままでベッドヘッドの大きな枕に凭れてしまったんだ。
ああ、いかん!
これじゃまるで倦怠期の連中みてーだ!!
「よ、洋太!今度のイヴとクリスマスは無理かもしれねーけどもッ!正月があるじゃねーか!な?な?それで手を打とう!」
いや、全くもって手前勝手な言い分だとは思う。
そーさ、俺だってそれぐらいの良識ぐらいは持ってるさ!
でも、洋太。
今回だけは譲れねーんだ…って、そうか。俺はいつだって、なんか我が侭に洋太を振り回してるような気がする。洋太のヤツがいつだって仕方なさそうに、ただちょっと笑ってるからいけないんだよ。
きっとそうだ。
「クリスマスが特別じゃないんだと思うよ。ただね、僕は光ちゃんと一緒にいたいだけなんだ」
いつもの、あのちょっと仕方なさそうな表情をして笑った洋太が、ポツンと呟いた。
でも、こんな時になって気付く俺も大概大間抜けなヤツだけど、その表情って本当は、すごく寂しそうに見えるんだな。
いやでも、いつもはそんなことなかった…よな。
なんか、やたら嬉しそうに笑ってて、だから俺も嬉しくなって我が侭を言ってしまったんだ。
洋太が俺にこんな風に我が侭を言うことってあったか?
…よく考えても思い出せやしない。
洋太が我が侭を言う時に、また俺は我が侭を言ってコイツを蔑ろにしちまうんだろうか?
ズキンッと胸の奥が痛んだ。
洋太の我が侭。
ただ、俺と一緒にいたいってだけのことなのに、俺は。
俺ってヤツは…
俺だって一緒にいたいさ。
ああ、そうだよ。俺だって本当はバイトなんか放り出して洋太の傍にいたいさ!
唇を噛み締めて、それでもその一言を口に出せないでいるんだからとんだ大馬鹿野郎だ。
今回のクリスマスは、俺だってお前と一緒にいたいんだ。
でも、どうしても抜けられないバイトだから、心を鬼にしてやっぱ…嫌だけど、本当は凄く嫌なんだけど、お前の誘いを断るしかないじゃねーかよ。
クッソ、どうしてこんな風にいつもうまくいかねーんだろ。
やっと両想いになれてるってのに、気持ちばっか先走って、空回りばっかしてんじゃ意味ねーじゃねーかよ。
何か言いたくて、でも口を開いてしまったらせっかくしている決心が大いに揺らいでしまって、何もかも駄目になっちまうような気がする…だから俺は、無言で俯くしかないんだろう。
「…でもね、光ちゃん」
暫く何かを考えていたようだった洋太は、ちょっと笑ってから、仕方なさそうに首を左右に振ったんだ。
「僕にとってやっぱり今回のクリスマスは特別なのかもしれないね。光ちゃんとこんなことで言い合うのも、なんだか珍しいなぁって思ってるんだ」
「洋太…」
俺の眉がハの字にへにょっとなるのがすぐに判った。
俺はな、ハッキリ言ってメチャメチャ洋太に惚れちまってるんだ。
押し倒して無理やりにキスしてエッチだってしたい、お盛んな年頃の恋なんだ。
そりゃもう、運命の女神様の悪戯だろうがなんだろうが、俺に洋太と言う存在をもたらしてくれたことにスッゲー感謝してるぐらいなんだぜ。
そんな顔されちまったら、俺は…
「だから、イヴもクリスマスも諦めるよ。バイトじゃ仕方ないもんね…でも、やっぱりちょっと寂しいかな」
そう言って笑った洋太の顔が、なんだかたまらなく切なくて、俺はどうしたらいいのか判らないまま気付いたらヤツのデブってる腹の上に馬乗りになっていたんだ。
「こ、光ちゃん?」
ちょっと驚いたように目を瞠る洋太の顔を覗き込んで、その鼻先をギュッと抓んでやったんだ。
「クッソー、んな顔しやがって!」
ちょっと笑って…仕方なさそうに大人のフリして我慢するなんて、そんな、襲いたくなるような顔をするお前が悪い。
大人のフリをして本当はまだムカついてんだろーがよ?
俺の愛すべきデブは、驚いたように目を身体と同じぐらいまん丸にして雑誌の向こうから、少しドキドキしてるんだろう、戸惑ったように見上げてくる。どーせもう、読んでもいないくせに、何をそんなに大事そうに雑誌なんか抱えてやがるんだ。
洋太の瞳の中の俺が嬉しそうに笑ったりなんかしてるから、俺のデブは驚くことに、ますます意固地になってその雑誌を鼻先まで持ち上げる。
「俺だって寂しいに決まってんだろ」
読んでもいない雑誌を取り上げて床に放り投げると、洋太はその気もないくせに小さく声なんか上げて床に落ちた本を眼で追いやがる。こらこら、お前が見ていいのは目の前にいるこの俺様だけだ。
上体を倒して鼻先に自分の鼻を摺り寄せながら軽くキスすると、洋太はちょっと溜め息をついて、そんな俺の腰に腕を回してきた。
「イブって、お花屋さんは人気があるのかな?」
「だそうだぜ。俺は今年から入ったからよく判らねーんだけどな」
啄ばむようなキスを繰り返しながら、それでも内心じゃやっぱ納得できないでいたんだろう、洋太のヤツにしては珍しく眉を寄せながら強い調子で間近にある俺の目を覗き込んでくる。やっぱそうか、ムカついていたのか…でも、そんな目で見られるとお前…思わず盛っちまうだろうがッ。
「…そうだね。クリスマス・イブは恋人たちにとってとっても!大切な夜だもんね」
とってもに微妙なアクセントの強さを感じて、俺は思わず噴き出しそうになっちまう。
そりゃないぜ、洋太。そんな態度は反則だ。
やっぱ、俺はお前が大好きだ。
「俺たちにとっても大事な夜だってのは判ってるさ。でもなー、頼むよ。今夜はなんでもするから、だからどうか許してくれ」
ガラにもなく素直に謝る俺に、もうそれ以上は何も言えなくなっちまったのか、いや、もう端からそんな俺を許してくれていたのか、洋太は深々と溜め息をついてぎゅむっと抱き締めてきたんだ。
「光ちゃんがそこまで言うんだから、僕は応援するしかないよ」
そう言って俺の色気もない黒髪にふくふくした頬なんか摺り寄せるだけで、別に何もしようとしない洋太に、モチロンこの俺様が黙っているワケもなく…ニッコリ笑って洋太の腕を引き剥がすと、ヤツのパジャマのボタンに手を掛けたんだ。
「今夜はぜってー洋太と天国にいってみせるぜ!」
サンタクロースなんかクソ喰らえだ。
「ななッ!?と、突然、何を言い出すんだい!?こ、光ちゃん?」
相変わらず狼狽しやがる洋太をそのままに、俺は手際よくパジャマの前を肌蹴させると、馬乗りになったままでたぷたぷの胸元に唇を落としたんだ。
肉厚なくせにドキドキしてる心音がダイレクトに唇に伝わってきて、なんてこった、やっぱ洋太だとすぐその気になれてしまう自分に今更ながら驚いてみる。
「洋太もその気になっちまえ」
薄いパジャマしか穿いていない俺は、今夜は洋太と仲良く勉強するからお泊りします、と家族に言付けて出てきてるから、全くもって明日の休みを大いに利用してやろうと企んでるってワケだ。だから、薄い布越しに洋太の欲望の在り処を見つけ出して、尻で軽く擦ってやる。
「俺はいつだって、洋太と一緒にいたいんだぞ」
コソッと秘密なんか暴露しながら、俺は洋太にもう一度口付けた。
離れてなんかいたくないに決まってんだろ、ヘボたれ洋太!いつだってキスして、いっぱいエッチしたいってのに、クソッ!せっかくのイブだってのに、思い切り甘えてやろうと計画していた俺の悪巧みなんて店長の一言でまるっきりパァになっちまった…
でも、それは仕方ないことだ。
悔しいけど、どうしてもその日は休めない。
だったらせめて、今夜はたくさんエッチしたい。
祈るように口付けたら、洋太の少し厚めの唇が押し開いて、俺が誘いかける舌先を受け入れるように歯列が割れた。
腰に回していた腕を器用にパジャマの裾から忍び込ませて、洋太しか知らない快楽の在り処に指先なんか這わせるから…
「…ん」
やばい、声なんか漏れちまったじゃねーか!…とか言って、嬉しそうな顔してるから救えないよな、俺。
「僕だって、光ちゃんとずっと一緒にいたいよ…」
「…ッあ、洋太」
ホントだな?そんな嬉しいこと、ホントに言ってるんだな?
胸元に這う指先の感触に溜め息を零しながら、俺は嬉しくってついうっとりと笑ってしまう。
それが以前、洋太が好きだと言ったあの笑顔ならいいのに。
性急な仕種は俺の悪いクセで、でもそのぶん、洋太のゆったりとした戯れがいい感じでマッチしてるから、きっと俺と洋太の身体の相性ってのは抜群なんだと思う。
ふふん、羨ましいだろう?…とか、誰にともなく威張ってみて、その馬鹿さ加減さにちょっとうんざりしてたら、洋太の太い指先が俺のパジャマのズボンを脱がしにくるから…ことの真っ最中に何を考えてるんだ、余裕あるな俺とか思ってみたり。
でもそのくせ、素肌に洋太の指先を感じると頭のてっぺんがバーストしたみたいにカッと熱くなって、なんだかもう、何も考えられなくなってしまう。そんな風に俺を酔わせるのもきっと、世界中で洋太ぐらいしかいないんだろう。
「よ、洋太ッ」
切羽詰った涙声は、欲望を曝け出す俺の下腹部に触れている太い指先の驚くほど繊細な動作のせいで、ヤツの肌蹴たパジャマをギュッと掴んで押し寄せる快楽に唇を噛むしかない。
「光ちゃん…もっと。ねえ、もっとよく顔を見せて」
頬が嫌でも上気しているのが良く判る。
ムチャクチャ恥ずかしいけど、それが洋太の願いなら俺は閉じていた目を開いて、欲望にチカリと光る洋太の男らしい眼差しを見下ろして、らしくもなくドキンと胸を高鳴らせてしまう。
「あッ!…よ、洋太」
それしか覚えていない人形みたいに繰り返す名前を、俺の愛する世界中でただ1人のデブが嬉しそうに笑って受け止めてくれる…こんな幸せって、マジでありッスかと誰かに聞いてみたい気もする。
「…入れるよ?」
解きほぐしてやわらかくなった内部をぐるりと指で掻き回されて、俺は洋太のふよふよの胸元にポタポタと涙を零しながらキスをねだった。
うん、入れてくれ。早く欲しいよ、洋太。
でもその前に、キスしてくれ。
洋太の少しの厚めの唇が触れた瞬間、俺は灼熱で身体の中央を刺し貫かれていた。
待ちに待ったその瞬間、ああきっと、俺は愛されてるんだと素直に感じる瞬間だ。
でも本当は、エッチも好きだけど、キスの方が好きだなんてこと、言葉に出さなくても洋太のヤツはちゃんと知っているから、俺は洋太に溶け込むようなキスをしながら、高みへと高みへと、幸福の山を愛する洋太と一緒に駆け上がっていくんだ。
洋太、俺…お前のこと、本当に好きだよ。
呟いたら、洋太の唇が僕も、と声もなく応えてくれて…チックショー!今度のイヴはずっと一緒にいたかったのになぁと後悔してしまう。
でも自分で決めたことだから、すまん、洋太。
「…ッ、ぅあ…ん、よ…たッ!好き…ッ」
「…僕もッ」
一際激しいストロークを繰り出す洋太の腰の動きに焦燥感を煽られて、俺は闇雲に洋太の首とも言えない首許に両腕を回して噛り付きながら溜め息を零していた。まるで下半身を溶鉱炉の中に突っ込んだような熱さで、でもそれが脳天まで直撃してくるから、俺は自然と生理的な涙を零しながら腰に力を入れていた。
洋太の灼熱がダイレクトに刺激してくる。
一瞬、胎内で大きく震えた洋太の灼熱は、俺の最奥に熱くて激しい飛沫を散らしていた。
「んぁ…んん…ッ、ん…」
俺もぷにぷにした腹に白濁を散らして、力をなくしてしまってそのままゆったりと倒れこんでしまう。俺の体重なんか、いとも容易く受け止めちまう洋太にうっとりして、ああ、今日も幸せだな!…と、満足してしまった。
ああ、これでクリスマスも一緒に過ごせるんならサイコーなんだけど…なぁ。
噛み合わない運命の歯車ってヤツに苛立ちながら、それでも、優しく背中を撫でてくれる洋太に守られるように抱き締められてしまうと、そんなこたもうどうだっていい気になってくるからいかん!
ああでも、今は素直にこの温もりを抱き締めていよう。
深く考えるのは、それからだな。
うん。
だからもっと…とか、おねだりしてみたり。
つくづく、俺ってヤツは。